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美味しい肉料理が楽しめる北インドのカシミール料理
インドはそれぞれの地方によって話す言葉も違えば食べる料理も実にさまざまです。北インドと南インドではもちろん、家庭料理にもかなりの違いが見られ、北部のカシミール地方では肉料理が盛んに食べられています。カシミールはパキスタンとの国境にある山岳地帯で、標高8000メートルの山脈なども連なり、その帰属をめぐってインドとパキスタンとの間で常に対立が起こっている地域でもあります。カシミールという言葉から発生したカシミアという織物は、この地方の原産であるカシミアヤギの毛を使って織られています。
ヒンドゥー教徒は殺生をタブーとしているので、基本的に肉食はしない人が多いのですが、カシミール地方のヒンドゥー教徒は最高位のカーストであっても肉料理を食べることが多いようです。と言ってもインドでは聖なる獣とされている牛、そして不浄なものとされている豚は口にしません。食用にされるのは羊肉か鶏肉、あるいは野鳥や野生のイノシシの肉などだけです。牛肉を食べることはしませんがバターによく似たギーは頻繁にカシミール料理に使用されます。この地方で代表的な料理といえばスパイスの効いたマトンの蒸し焼きや煮込み料理が挙げられます。また「ワズワン」と呼ばれる、ほとんどが肉料理で構成されたフルコースもカシミール地方のガストロノミーとして有名です。この地方の東部にはチベット仏教徒も住んでおり、スープ麺や水餃子、麦こがしなどを主に食しています。